大分出遅れた感がありますが、CLANNADアニメ版第11話「放課後の狂想曲」の話題です。
”てぃーび まぐぬむ いのみなんどぅーむ … ”
演劇部の備品から見つけた魔法のバトンを振りながらことみが唱えた呪文。
これはロバート・ブロック「星から訪れたもの」("The Shambler from the Stars" by Robert Bloch)に登場した架空の書籍『妖蛆の秘密(De Vermis Mysteriis)』に記述されている、星の彼方から見えざる下僕(吸血生物。クトゥルー神話の解説書等には『星の精』と紹介されています)を召喚する呪文です。従える呪文は別だったのか、これを唱えた夢想家はそのまま餌食になってしまったのですが…
それを知りつつ唱えることみは度胸があるというか、何というか…いや、発音が正しくても呪文は一部に過ぎず、問題ないという考え方もありますが。「ふんぐるい むぐるうなふ…」のようなメジャーなものならともかく、えらいマイナーな呪文を元ネタにしたものです。
原作版でも同じエピソードがあった気がしたので、再確認した上で、ネタ元の書籍と比較してみました。(アニメ版については、極力発音通りにテキスト化したつもりです)
- アニメ版CLANNAD
「てぃーび まぐぬむ いのみなんどぅーむ、 しぐな すてるらむ にぐらるむ え えふぁに ふぉるみす さどくえ しじるむ」
- 原作版CLANNAD
「てぃび、まぐぬむ、いのみなんどぅむ、しぐな、すてらるむ…にぐらるむ、え、ぶふぁにふぉるみす、さどくえ、しじるむ」
- 青心社・暗黒神話体系シリーズ「クトゥルー 7」所収「星から訪れたもの」
「ティビ・マグナム・インノミナンドゥム・シグナ・ステラルム・ニグラルム・エト・ブファニフォルミス・サドクァエ・シギラム ……」
- 国書刊行会「新編 真ク・リトル・リトル神話体系2」所収「妖蛆の秘密」
「 Tibi Magnum Innominandum, signa stellarum nigrarum et bufaniformis Sadoquae sigillum ……」
原作とアニメの間で、伸ばす間隔以外に2箇所(stellarum、bufaniformis)違いがありますね。
手元にあったのは青心社版だけなので、国書刊行会版も借りてきて確認してみたのですが、呪文の部分はラテン語のまま書かれていました。発音として青心社版とことみでどちらが近いのかは判りませんが、ことみが読んでいたのはラテン語(原書か国書刊行会版)でしょう。
国書刊行会のは高いので、青心社版を読めば十分だと思います。(邦題がそれぞれ違いますが、訳者の違いによるものです)