先程、
鷲宮神社「らき☆すた公式参拝」に見る「聖地」フィルムコミッションの出遅れ
(湘南自転車。)
という記事を拝見したので、ちょっと考えてみました。
そもそも、フィルムコミッションが映像制作者に提供するメリットは何でしょうか。
1.フィルムコミッションは、以下のサービスを無償で行います。
ロケーション場所に関する情報の他、宿泊、食事、機材、レンタカー、許可申請についてなど、
地域で撮影する際に必要な情報の提供を行います。
2.以下のことは、個々のフィルムコミッションによって異なります。
警察署、公的機関などへの撮影許可手続きの代行
エキストラの手配(登録制度をとっているFC もあります)
撮影への同行
(全国フィルム・コミッション連絡協議会より引用)
実写作品の大人数撮影隊を想定した事項が多く、少人数で背景資料を写真に納めれば済むアニメのロケ隊に有用なのはロケ地の紹介くらいでしょうか。アニメオリジナル作品などでロケ地探しから始める場合、積極的にコミッションを通さない理由は無いように思います。(かみちゅ!など)
最近は原作つきのアニメが多いため、原作の舞台設定でロケ地が限定される場合はコミッションに紹介してもらうより、原作者とロケする方が確実でしょう。(涼宮ハルヒの憂鬱など)
一方、映像作品が地域にもたらすと期待されるメリットですが、
3.フィルム・コミッションを組織するメリット
(1)当該地域の情報発信のルートが増えます。
(2)撮影隊が支払う「直接的経済効果」が見込まれます。
(3)作品(映画・ドラマ)を通じて観光客が増え、観光客が支払う「間接的経済効果」が見込まれます。
(4)映像制作に関わることを通じて、地域文化の創造や向上につながります。
(全国フィルム・コミッション連絡協議会より引用)
アニメのロケ隊は小規模なものが多く、最低で1人、多くても10人もいかないでしょうから、2番の直接的経済効果については期待できません。ただし全体の効果として見れば間接的経済効果その他が大半を占めるでしょうから、同じ視聴者数の作品であれば大差はつかないのではないかと思います。
アニメ視聴者数は映画やドラマに比して一般に少ないため、積極的に製作会社等に広報をかけろとまでは言いませんが、アニメやゲームのロケ地としても使えるとの姿勢をサイトなどで示す程度の努力をする価値はあるのではないでしょうか。
○課題
・コミッションを通すことによりロケ地選定の制約が生じる可能性(マイナスイメージ回避傾向)
・コミッションの経営評価指標として、直接的経済効果が重視されている可能性が高い(計量可能なため)
・観光資源としてアニメ等の舞台を活用することに抵抗がある可能性(理解を得にくい?)
・原作小説/漫画の段階で舞台設定地を獲得するには一般的な観光アピールや地元作家育成のほうが大事